
JR舞子駅から歩いて数分の明石海峡大橋へ足を運んだ。

これは少し別の時期に、橋の上から撮影した写真だ。

同行したのは、仕事柄、橋を専門に語れる知人だ。

彼はこの近所で育ち、学生時代に阪神・淡路大震災を経験したという。震災の当時、明石海峡大橋は建設の真っ只中だった。それでも震災後、大きな遅延もなく完成へと進んだ工事を目の当たりにし、深い感動を覚えたそうだ。

明石海峡大橋は世界最大級の吊橋である。海底には「ケーソン」と呼ばれる巨大円筒が沈められ、それが塔を支える基盤となる。塔間にはケーブル束が張られ、そこから橋桁を吊り下げる構造だ。

この海中に1990年代当時の技術の成果が結実している。

遠景で見ると強風時には橋全体がしなやかに弧を描き、巨大構造物が生き物のようにたわむ様子がわかる。ケーブルを保護するため、鞘内部へ乾燥空気を送り込む「除湿システム」が採用されている。

点検・保守の技術も年々アップデートされ、いまも絶えず研究が続くという。

瀬戸内海には、この橋以外にも巨大橋がずらりと並ぶ。1988年に瀬戸大橋、1998年に明石海峡大橋、1999年にしまなみ海道が相次いで開通し、交通と物流の要として機能してきた。さらに鳴門海峡には大鳴門橋も控え、海峡部の厳しい自然条件に挑むエンジニアたちの飽くなき探究心が垣間見える。